輸入代理店カルペディエムでテナヤ(Tenaya)製品の取り扱い終了
Tenaya製品は、Oasi、Mundaka、Iatiなど、履き心地が良くて使いやすい独特のシューズが多くお世話になっていたのですが、輸入代理店で取り扱い終了のニュースが出ていました。
https://shop.tenaya.jp/new/2019-05-30-101432.html
今後の代理店は未定とのことで、しばらく供給が不安定になるかもしれませんね。
輸入代理店が早く決まって復活してくれると嬉しいです。
クライミングシューズ、ソールの硬さについて考えてみた。
クライミングシューズのソールの硬さ比較は、過去に記事にしました。
もう少し突っ込んで、硬いソールと柔らかいソールの使い心地について、個人的な意見を書いてみます。
そもそも摩擦とは何なのか?
クライミングシューズのソールは、摩擦でホールドをとらえている訳ですが、摩擦はそんなに簡単な現象では無く、実際に起こっている現象はかなり複雑です。
摩擦は物理屋さんの中でも専門家がいる分野なので、とりあえず、私の理解の範囲内だけでポイントをまとめると、以下の3つに分けられます。
- ゴムが凹凸に沿って変形して、それを押し返す力
- 実際に接触しているところが、ゆるい結合を作る
- ゴムに突き刺さった先端部が、ゴムを削りながら掘り起こすのにかかる力
この中で、ゴムの場合は上の二つが支配的になると思われます。
また、接触している面同士も、実は凹凸がかみ合って接触している面積は少なく、上からの圧力によって実際に接触している面積が変わるので、余計に面倒です。
つるつるの面に乗るとき
一番わかりやすいのは、よく磨かれた河原の石や、ホールドのつるつるの面です。
大きな凹凸はないので、微小な凹凸の表面にゴムがしっかり押し付けられるとよく止まります。
Five TenのステルスMi6ラバーは、ガラスで止まるのをイメージしているそうですが、あんな感じで柔らかくて粘るゴムが最適と言えるでしょう。
エッジやとがった粒に乗る場合
この場合は、大きな凹凸でゴムが大きく変形するので、つるつるの面に乗るときとは様子が異なります。
- ゴムは体重を受けて十分大きく変形する
- すべる方向に力がかかると、ゴムが凹凸を横方向に押して抵抗力になる
- 柔らかすぎるゴムは、ふにゃっと曲がって凹凸が外れてしまう
- 場合によっては、突き刺さった部分がゴムを引き裂いてしまう
特にスラブや垂壁では、フットホールドにほぼ全荷重がかかります。
柔らかすぎるゴムだと、所謂、荷重に負けた状態になってじりじりと外れていきます。
ある程度硬さがあって、大きな抵抗力を負担できたほうがよくなります。
スメアでボテなどの砂ぶきのさらさらの面に乗るとき
これは、エッジや粒に乗る時と、つるつるの面に乗るときの間くらいになると思います。
- ゴムの変形で表面が変形して隙間が埋まり、接触面積が増えたほうが良い
- 小さな力で変形して、たくさんの凹凸に対し押し返す力が働いたほうが良い
- ゴム自体が粘着性を持っている効果は、つるつる面ほど重要じゃなさそう
体重が軽い人、強傾斜で足の荷重があまりかからないシーンでは特に、柔らかいラバーがよいと思います。
まとめ
まあ、当たり前の結論になってしまって全然面白くないのですが、実際のシューズで何が起こっているかはいまいちよくわかりません。
あと、粒と周辺にゴムを押し付けてスメア気味に立ちこむときなど、上の分け方に入らない動きもあります。
ただ、Five Tenが岩によってラバーを使い分けるべきと言っていたのはうなずけます。
個人的な感覚では、以下の印象でした。
- Vibram XS EdgeやStealthC4は、体重が重めの人が垂壁やスラブで使うのによさそう。
- Stealth HFなどは、体重60kgの私だと垂壁でエッジに立ちこむには若干柔らかすぎる。スメアは最高。強傾斜もStealth HFくらいの柔らかさが足が外れなくて好き。
- Mi6ラバーは、表面が粗い砂ぶき面でのスメアではどんどん削れてしまって、HFのほうが好感触。表面が細かい場合とつるつるの面では最高。
もっとシューズ使いが上手くなったら、ラバーの特性も考えて踏み方を調整できるのか?とも思うのですがどうなんでしょうね。
【クライミングシューズ分解】スカルパ ドラゴを分解してみた
スカルパ(Scarpa)のドラゴ(Drago)は、コンペなどでも定番の一本締めスリッパシューズです。ヨーロッパの選手を中心に使用者も多いですね。
使いこなせていたかどうかはともかく、履き心地の良い本気シューズとして私も愛用していました。
使わなくなったシューズをいただいたので、分解してみます。
ソールはがし
ランドが結構回り込んでいることがわかります。
テンションラバーは母指球関節の手前くらいまでの長さで、指を反らせる動作は阻害しない程度になっていることがわかります。
ヒール側のソールは、ヒールカウンターの下に入り込んでいるので、途中まではがしました。テンションラバーはヒールの手前で止まっています。
テンションラバーはがし
テンションラバーをはがしたところです。ランドとヒールカウンターのラバーが足裏で割れていますが、テンションラバーがそれを覆い隠す形になっています。
ゴムの割れ目の接着部分はシューズの弱点で、伸びや剥がれの原因ですが、分厚いテンションラバーをつなぎ目に置いて、しっかり接着されています。
ランドはがし
ランドをはがしたところです。シャンクが見えます。
1mm程度の繊維と樹脂のシャンクで、つま先部分だけ剛性を高めています。
トウラバーも兼ねた大面積のランド。細かいパターンが切ってあり、折り返しができるように作ってあります。
ヒールカウンターはがし、全ばらし
ヒールのパーツは、ソール、サイドのラバー、ヒールカウンターの3つです。
ヒールカウンターは厚みが場所によって違っていて、端は薄めに、中心部分は厚めになっています。はき口が広がりやすく、足入れの良さはこういうところの工夫もあるのでしょう。
ヒールの構成はスポルティバのシューズとよく似ています。
アッパー
アッパーは、甲2枚、ヒール1枚、底2枚の5枚で作られています。
感心するのが、親指近辺の体重がかかる部分に縫い目が来ないように、つま先の親指側のみ底の生地が回り込んで甲側まで覆っています。
立体的な形状を作り出すために、よく考えられています。
まとめ
ドラゴは、ヒールなど他社のシューズの良いところを研究しつつ、つま先のシャンクやテンションラバーなど、独特の優れた設計が盛り込まれていると感じました。
特に、アッパーの作りが秀逸で、ド派手なアーチ形状に沿った形をうまいこと作り出しています。
柔らかいながらもつま先に最低限の合成を確保してあり、ファンが多いのもうなづけるシューズですが、相応の手間がかかっていることがわかりました。
【クライミング】ムーブと体の各部位の重さ、重心移動について
人間の体の各部位の重さ
体の部位の重さは個人差がありますが、下の数字に近い資料をよく見ます。
クライマーは上半身が若干重い人が多いでしょうか?
ざっくり分かることは、圧倒的に胴体と頭の比重が重いことです。
- 胴体+頭で体重の約半分
- 片足で2割弱、両足で4割弱
- 腕は両方合わせて1割強
スラブ・垂壁について
垂壁でのバランスのとり方で例えると、
- 横方向のもも上げ=上半身の8~9cmシフト
- 足を90度横に伸ばす=上半身の12cm程度のシフト
足では大きな動きでも、上半身を少しシフトさせるだけで同じ量の移動ができます。
背骨や腰を使った姿勢のコントロールは、かなり重要ですね。
私はスラブ・垂壁は苦手なのですが、うまい人のムーブをなかなか盗みにくいと感じています。おそらくムーブの種類よりも、上半身の重心位置の微妙なコントロールが肝になっていて、ぱっと見では分かりにくいからかなーと思います。
強傾斜について
強傾斜ではどうしても、腕の負担が大きくなります。
135°の壁で、両足を水平にして、腕は垂直にぶら下がった場合、全体重の9割近くを腕で負担することになります。足の重さすら腕で負担する必要があります。
壁に体を近づけ、入り込むことで足の負担分をかなり増やせますが、引付け力が必要なので、腕などへの負担はやはり大きいです。
リードの選手達はキョンを有効活用してレストしていますが、深いキョンで足の支持点を腰に近づけつつ、壁に体を近づけることで、上半身の負担を劇的に軽減できています。
キョンは膝への負担が大きいこともありますが、やはり有効活用すればメリットは大きいですね。膝周りの筋肉を徐々につけて、故障なく使えるようになりたいです。
その他
興味本位で試算してみましたが、ちょっと驚いたのは足単体での重心移動効果が思ったよりも小さいことです。フラッギングだけでは、思いっきり上半身を倒したときの重心移動を賄えないことになります。
改めて、軸足を中心としたモーメントを極力発生させない、全身の姿勢づくりの大事さを感じました。
ボルダリング初心者が、ムーブを覚える前に最初に知っておくべき基本【クライミング ムーブ】
ジムに初めてきた人が、スタッフさんや一緒に来た人に教わりながらトライしている時、ムーブや使うホールドを教えてもらったりして登ってます。
教え慣れてる人もいますが、上手い人達はなんだかんだで初心者の悩みを忘れてたりします。
私が始めた時に、最初に教えておいてほしかった事を書きます。
足と手の順番
はしごを登るようにと教えられますが、一番簡単な課題を除いて、そんなに上手くいかないケースが多いはずです。
動かす順番は、間違えずにスムーズに行っても足、足、手、足、足、手の順番が多くなります。
時には、足、足、足、足、・・・手、のように良い位置まで足を動かしまくってから片手を出します。
特に足自由課題では、はじめのうちは正解の足位置に一度で置ける事がまれです。足を何度か動かして体勢を作り、体勢ができるまで手を出さず、取る体勢ができたら手を出すのが基本です。
戻るのもあり
一旦ホールドを取ってしまったものの、そこから動けなくなる事もあります。
その場合は、一旦落ち着いて、前の体勢まで戻るのもOKです。
大抵は手を出す前の体勢作りに失敗しているので、足から見直してみましょう。
一旦降りるのも大事
腕に全力で力を入れた状態で、数秒経つと腕がパンプします。
慣れてくるとこれはダメなやつだと言うのが分かるので、引き際も分かってきますが、最初は分かりにくいと思います。
力を入れっぱなしにすると、その後続けられなくなりますので、その後の動きにつながらなそうだったらさっさと降りて次の作戦を考えるのも良いでしょう。
スタートは片足を外しても良い
足も限定の課題に手を出し始めると、必ず両足をホールドにおいてスタートしようとする人がいますが、始めのうちの課題ではまず間違いなく両足をホールドにおいてスタートしなくちゃダメという決まりはありません。(コンペ課題とかではたまに足位置が決まってたりしますが)
身長の高い人が狭そうにスタートしていたり、両足をのせると変な体勢になったりすることがあります。
片足をあえてホールドから外してスタートすると、できる場合も出てきます。
強傾斜で何もできない時
強傾斜で、プラーンとなって、足も上手く引っかからなくて、何もできずに落ちるという人もいます。腕力のある男性は、懸垂するみたいにパワーで登ってたりします。
慣れてる人には当たり前すぎて、アドバイスし忘れる気がするんですが、
強傾斜も足で体重を支えるのが基本です。
当然、強傾斜の方が、腕にかかる負担は増えますが、足、お尻、背中、腹筋もふん張って、足で踏んで体を支えないと、腕に体重がもろにかかります。
側対は体を足と体幹を使って、足に上手く体重を乗せながら体を持ち上げる工夫ですし、勢いをつけて手を出す場合も足を起点にして体全体を使って体を持ち上げます。
まとめ
私は要領が悪いので、上のような事を理解するまで、悪戦苦闘してた記憶があります。体で覚えるのも良いですが、少し意識しておくとすんなり入れるかもしれません。
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ジュニア・キッズ向け、小さいサイズの大人用クライミングシューズ情報【クライミング ボルダリング】
最近は、キッズ向けのクライミングシューズの種類も増え、作りが本格的な物も増えてきました。あちこち紹介されています。
しかし、小学校高学年にもなってくると、上達して大人を軽々と超えるムーブを繰り出す子もいて、大人と子供の中間が一番悩ましいところだと思います。
少しでも小さなサイズがある、大人向けの本格的なモデルを紹介します。おおよそ19cm〜20cm程度から使えるシューズがちらほら出てくるようです。
また、大人向けシューズの小さなサイズは、ラインナップにあっても代理店が輸入していないケース、日本に在庫が無いケースが良くあるので、試しに履く時は店舗に事前連絡は必須です。ご注意ください。
- スポルティバ(La Sportiva)の大人向け最小サイズ
- ファイブテン(Five Ten)の大人向け最小サイズ
- スカルパ(Scarpa)の大人向け最小サイズ
- イボルブ(Evolv)の大人向け最小サイズ
- マッドロック(MadRock)の大人向け最小サイズ
スポルティバ(La Sportiva)の大人向け最小サイズ
最小サイズでEU32からになります。
子供のサイズ感は難しいところですが、19〜20cm前後から使えるシューズが出てくるようです。
ジーニアスとオクシジムを除くと、女性向けモデルや旧モデルが並びます。
ソリューション、フューチュラ、ミウラなどは、新モデルで小さいサイズがラインナップから消えていますので、旧モデルがあるうちに試し履きしたほうが良さそうです。
EU32からあるシューズ
ファイブテン(Five Ten)の大人向け最小サイズ
ファイブテンの最小サイズはUSW4からで、19.5〜20.5cm前後からになります。アメリカの場合、女性向けサイズは男性向けと違うので注意が必要です。
アメリカ本国では、男性向けサイズUS2(19〜20cm程度)からサイズがあるシューズも存在するのですが、代理店は日本に取り寄せていないようです。個々のショップが輸入した物をつかむしか方法がないようです。
ファイブテンの在庫は整理中ですし、ただでさえ品薄のサイズなので、こちらも入手するなら急いだ方が良さそうですね。
USW4からあるシューズ
US2からあるシューズ(アメリカ本国)
- アナサジVCS
- アナサジレースアップ
- アナサジプロ
- TEAM 5.10
スカルパ(Scarpa)の大人向け最小サイズ
スカルパの場合は、EU34からで、おおよそ20〜21cm程度からになります。スポルティバのほうが、EUサイズで1〜1.5程度スカルパよりも大きめにシューズができているので、ちょっとcmに直したときの感触が違います。
Scarpaの場合は、マエストロやブースティックなどの一部を除き、多くのシューズが34からラインナップされています。
イボルブ(Evolv)の大人向け最小サイズ
基本的に、女性向けのUSW4~5程度からラインナップがそろっています。
が、しかし、イボルブにはあの白石阿島選手が使用していたASHIMAがあります!
大人向けかどうかは別として、本格的なレースアップシューズですね。
ASHIMA (USW3〜おおよそ18.5〜19.5cmから)
マッドロック(MadRock)の大人向け最小サイズ
女性向けのUSW3(おおよそ18.5〜19.5cmから)ラインナップされています。男性向けもUS3(20cm〜21cm程度)からそろっています。
USW3からあるシューズ
なかなか悩ましいところですが、この辺のシューズで入手できそうな物に片っ端から当たるしかなさそうですね。
子供向けでも本格的なシューズが出てきていますし、そのうち、そちらも加えて書き直したいと思います。
クライミングでやせる人、やせない人【ボルダリング トレーニング ダイエット】
ジムで雑談していると、ボルダリング始めたばかりの人と、続ければ痩せるかどうかという話になったりします。
私自身は、運動から遠ざかってた時期から考えると半年で5kgほど痩せたのですが、周りにはいろんな人がいて、何となく傾向が見えてきたので書いてみます。
運動を全然してこなかった人は痩せる余地あり
運動を継続的に行ってきた人は、そもそも極端に太ることは珍しいです。元々代謝も良いので、劇的な効果は見込めないと思います。クライミング以外ではあまり使わない筋肉がつき始めると、じわじわ体脂肪が落ちる人はいます。
逆に、全然運動していない人は、クライミングに限りませんが痩せるのが目に見えやすいです。
ある程度の頻度で継続するのは大事
クライミングで痩せたなーと思う人は、週2〜3回で数ヶ月は継続して通っている人が多いようです。
新陳代謝が上がった状態が保たれて、筋肉もついて、となるとやはりその程度の頻度が必要になるのかもしれません。
しかし、ハマった人は、ちょっとはレスト日を作ったほうがいいんじゃない?と思うくらいにジムに通い詰めたりするので、苦にならない場合も多そうです。
ある程度負荷の高い登り方が必要
上達してくると、簡単な課題は効率よく登れるようになって、ほとんど苦になりません。
簡単な課題だけではあまり痩せないでしょう。
自分の能力の限界を押し上げるような課題だったり、リードや長物課題など疲れを感じる程度長く壁に張り付く課題もメニューに入れてあげると、効果が出やすいと思います。
まあ、ハマってしまえば上達したくて難しい課題も触りたくなるものですよね。
クライミングは他のスポーツで挫折した人にこそおすすめ
ランニング、水泳、サッカー、テニス、激しいスポーツを挙げればキリがありません。継続すればクライミングよりも痩せるスポーツもいくつもあると思います。
しかし、他のスポーツが続かなかったけど、クライミングは続いていると言う人には良く会いますし、私自身もそんな感じです。
また、筋肉の量も増えますので、健康的に痩せられるかなーと思います。
ゲームとかパズルの要素があって、他のスポーツで挫折した人でも無理無く続けやすく、一人で没頭するのが好きな人にも向いている事を考えると、クライミングのダイエット効果は馬鹿にならないかなと感じました。