ボルダリング好きエンジニアの雑記帳

クライミング、ボルダリング、モノづくりについて情報が少ないなーと思った事を書いていきます。

スカルパ フューリアS レビュー(2018年新作モデル )【クライミングシューズ ボルダリング】

 

スカルパ フューリアS (Scarpa Furia S)を購入しました。ドラゴと比較しながら登ったのでレビューします。

 

 

特徴

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 フューリア無印やドラゴの路線を引き継いで、基本的にはかなり柔らかい系統のシューズです。

ソールも定番のVibram XS Grip2で厚さは3.5mmと、薄めで足裏感覚重視となっています。

 

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ダウントゥ、ターンインはドラゴと同様にキツめですが、シューズ自体が柔らかいので変形しやすく、履きやすい部類ですね。

スポルティバやテナヤで採用されているストラップでアッパーを絞めるシステムが、スカルパでは初めて採用されています。

 

 

スカルパのシューズの設計思想はスポルティバと違って、アッパーのレザーやマイクロファイバー生地には荷重を負担させない傾向が強いようです。

堅実な作りで、アッパーが伸びて緩くなったり、攻めすぎて壊れたりしたことがないのですが、フューリアSもその思想を受け継いでいるようです。

荷重はラバー、ストラップ、ナイロンテープなど、しっかりした部材で負担していて、アッパー素材は柔らかいですが、シューズの構造の作り込みは相変わらずしっかりしています。

 

ドラゴとの主な違い

フューリア無印と比較すべきかも知れませんが、ドラゴしか持っていないので、ドラゴと比較します。

 

アッパー

 

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ストラップシステムで、アッパーの拘束が強まっています。

ドラゴの特徴の一つは、柔らかさとアッパーの拘束の緩さから来る自在性ですが、立ち込みやヒールカップの固定を考えると弱点でもあります。キメラの方がアッパーの拘束が強くて、ヒールフックや立ち込みに向いていましたが、フューリアSでは両立させるバランスを狙っているようです。

 

ドラゴは、つま先が曲がったときにアッパーが横に伸びて力が抜けます。フューリアSはストラップが、横に伸びやすい部分を止めています。

 

トゥを反らせる自在性は若干ドラゴより劣りますが、履いたときのサポートを強めて剛性感を出し、使い勝手のバランスを向上させています。

 

ストラップシステム

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ドラゴのベルクロとは、スリングに引っ張られるナイロンテープの位置が違います。

ダイレクトに土踏まずを持ち上げる方向になり、フィット感の向上に一役買っています。

ヒールカップを固定するナイロンはドラゴと似ています。これは、スポルティバのソリューションのように、良い角度で力が負担できる方向です。

ストラップは幅が広めで、他社の欠点を学んで切れにくい工夫を入れているようですが、耐久性を判断するのはこれからですね。

 

ソール

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アウターソールの厚みは同じです。ミッドソールがつま先に入ってつま先の剛性を上げているのも同じでした。アッパーの剛性が上がっている分、若干ドラゴより立ち込みやすいです。

IPRシステムと名付けられた、つま先からヒールを繋げ、力を伝える構造が採用されています。セパレートタイプのシューズは、かかとにかかる体重をつま先に伝える事が難しいため各社工夫をこらしていますが、これもその一つなのでしょう。新しい構造は耐久性が気になるところですが、体重を支えるには理にかなっています。

 

ヒール

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IPRシステムのトゥからヒールまでつながる青いラバーが目立ちます。

ヒールの形は前のフューリアの路線に近そうです。

ヒールのソールは細くなっていて初代フューリアを思い出しますね。側面を包むラバーが厚くなったので、ヒールをかける部分の履いた状態での剛性はドラゴよりは上がったように感じます。ただ、柔らかめであることには変わりないので、スポルティバのsヒールのような硬いヒールが好みの人には合わないかもしれません。

 

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ヒールループは土踏まず側のゴムの広がりが小さくなり、細くなっていて、キメラに近いヒールループ形状になっています。あえて細くする事でゴムの可動域が広がり、土踏まずとかかとの骨を固定する力が強くなっています。ゴムのテンションそのものも上がっていて、ヒールのフィット感が向上しています。ストラップを締めなくても、かかとに食いついてきます。

ヒールのフィット感はスポルティバの、特にパイソンに近づいているように感じました。とても良いです。

 アッパーの拘束が強まったため、ヒールにかかる力がアッパー側に逃げにくいこともあり、全体的にヒールの完成度はドラゴより向上しているように感じました。同系統のキメラと比較すると、樹脂が入ったキメラのほうが硬いです。

Instinct VSと比較すると、ソールが柔らかいので、個人的にはInstinct VSのヒールの方が好きです。

ただ、正直ヒールの好みは難しいところなので、ヒールフックが上手い人の意見を聞いてみたいところです。

 

サイズ、足型

シューズの外観のターンイン、ダウントゥはほぼ同等と感じました。ラストもScarpaのHPにドラゴやキメラと同じFZとあるので、同一のようです。しかし、トゥも含め全体の剛性が変化していますので、足を入れた感覚は若干違いを感じました。

指先のアッパーラバーの穴は面積が増えて、指関節が偏って当たる人でも痛みを和らげる工夫がしてあります。

シューズのサイズは、素足が25.3cm、甲は高くない足でドラゴを39h〜40で履いていましたが、同じ感覚でした。ジム用に緩めに買ったので40ですが、素足の本気用だと39hがよさそうでした。柔らかいのでその気になればもっと攻められはします。

ドラゴをゆるゆるで履いていた人は、フューリアSの良さを活かすために実際に足を入れて拘束感を調整した方が良いでしょう。

 

他のシューズとのサイズ比較は、別記事に書いています。

 

sphendon.hatenablog.jp

 

スカルパの足型、ラストについては、以下の記事に書きました。

 

sphendon.hatenablog.jp

 

 

全体

基本的には柔らかめのシューズですが、ドラゴよりは拘束感が強めになり、立ち込みやカキコミはしやすくなっています。ヒールの完成度も上がり、よりバランスの良いシューズに仕上がっていると思います。

ドラゴが合っている人は、一度浮気をしてみるのもありかと。

 ドラゴの自由度をとるか、フューリアSのバランスの良さと完成度をとるか悩ましいですが、オールラウンドに使えそうです。コンペシーンなどでも活躍できる実力のあるクライミングシューズに仕上がっていると予想します。

値段も2万円を切っていますし、これは流行りそうですね。

IFSCライミングワールドカップ で、Stasa Gejo選手やMichaera Tracy選手が使ってました。

 

 

 

クライミングシューズのビブラムソールとステルスソールの硬さを調べてみた【クライミングシューズ ボルダリング】

ライミングシューズの靴底のゴム(ソール)は、ホールドをとらえるための摩擦、立ちこみやすい硬さ、耐久性などが高いレベルで求められます。

メーカー各社は、それぞれのシューズに合ったソールを選んで使用しています。摩擦はすごく重要なのですが、データが無いので比較は今回はあきらめました。

柔らかめのソールはダイレクトに足裏の感覚が伝わりやすく、硬めのソールは外岩などの小さなホールドに乗るときに、変形しすぎで負けたりしにくくなります。

 シューズの構造にも影響があり、柔らかい方がしなやかに曲がってホールドに沿いやすく、硬いほうが変形が少ないので体重を支えやすいです。

 

ソールの硬さ比較

単位はShore A硬度です。数字が大きいほど硬いと思ってもらえばとりあえずOKです。

90だと野球の硬式球、70だと軟式球、50だと消しゴムくらいの硬さと言われます。

値に幅がある物は、中央値をとりました。硬い順に並べています。

  • 5.10 Stealth Onyxx 84
  • Evolv Trexx T5 79
  • Vibram XS Edge  78
  • 5.10 Stealth C4 78
  • Madrock MadRubber 76
  • Vibram XS Grip2 74
  • Vibram XS Grip 70
  • 5.10 Stealth Hf 68
  • 5.10 Stealth Mi6 55.5

廃盤になってしまったOnyxxはかなり硬い印象でしたが、やはり一番硬かったです。逆に、Mi6ラバーはぶっ飛んだ柔らかさですね。

Five Tenは、硬式球に近い硬さから消しゴムに近い柔らかさまで、かなり幅広く網羅していたことになります。

逆にVibramソールは、78から70の間に収まっていて、硬さから言えば無難な範囲なのでしょう。Grip2とGripだと、Grip2のほうが粘る印象で、柔らかさ以外にGripを採用する理由は無い気がします。

個人的にはC4がもっと柔らかい気がするんですが、大変形に対する強さは別ですし、温度も影響しますから、なんとも言えませんね。

 

リソールについて

シューズのリソールをするときは、元と同じソールにするのが基本と言われますが、フリクションが効くと言われるStealthを試したくなる事もあります。しかし、大きくソールの硬さが変わると、シューズの剛性、足のサポートのバランスを崩す事にもなります。

Vibram→Stealthにする人が結構いるようですので、どの組み合わせが無難な硬さか考えると、以下の感じでしょうか。

  • Vibram XS Edge とStealth C4、Evolv ならTrax T5
  • Vibram XS GripとStealth Hf
  • Vibram XS Grip2は、Stealth C4とHfの中間くらいで、どちらに変えても少し硬さの感覚は変わってしまう。

 

あえてソールの硬さを変えて、自分好みのバランスを考えるのもリソールの楽しみの一つですし、Shore A硬度が近いだけではバランスが崩れないとも言えませんが、参考にしてもらえれば幸いです。

XS Gripを使っているテナヤのオアシとかをStealth Hfにしたらどうなるんだろう・・・

 

ソールの材料

ソールの材料となるコンパウンドが、どの種類のゴムなのかは、情報が出てきませんでした。

 

推奨の接着剤からの予想ですが、Vibramのソールにはウレタンゴムが含まれていて、Stealthはウレタンは含まれていないようです。

ウレタンゴムは、摩耗、引裂強さなどの機械強度が高く、Vibramのソールは摩耗のしにくさや引裂き強度を重視してあるようです。また、ウレタンゴムは比較的水に弱いです。老化防止剤でかなり改善しますが、湿った状態で置き続けるのは避けたほうが良いでしょう。

Stealthは原料は分からないのですが、リソールキット付属の接着剤はウレタンゴムの接着に向かないタイプです。履物などによく使われるNR、NBR、BRなどに近いとすると、添加剤などの研究が進んでいるゴムなので、粘りを出しやすいのかも知れません。

 

実際は、添加剤や加硫の条件でかなり性質が変わりますが、使っている原料ゴムのそもそもの組成が違えば、使ったときの印象が違ってくるのも納得ですね。

 

ちなみに、セルフリソール派の人がVibram XS系を使用する場合、ウレタンゴムが接着できる接着剤を使わないと、くっつきにくい可能性が高いのでご注意ください。

ボルダリング上級者に、使用シューズを聞いてみた【クライミングシューズ ボルダリング】

ライミングシューズも2足目、3足目となると、色々目移りします。トップ選手のクライミングシューズも気になりますが、もうちょっと身近な強い人たちがどんな考えでシューズを選んでいるかも気になるところです。私の周りの強いと思うクライマー9人に、使っているシューズを聞いてみました。

2〜3段を落としたことがあり、苦手系以外はコンスタントに1級を落としている人たちです。今回はボルダラーがメインです。

 

1人目.

インスティンクトVS(ジム、外岩)

インスティンクトVSR(ジム、外岩)

基本インスティンクトVSで全てをこなしているそうです。VSではじかれる時や、つるつるの岩の時にVSRを使っているとのことです。VSをリソールした時に、XSGrip2にすることもあり、その場合はVSRと同じ扱いで使っているようです。

 

2人目.

ドラゴ(ジム、外岩)

ミウラ(外岩)

外岩は定番のミウラ、ジムはドラゴで登っているそうです。最近は、外岩でもドラゴを使う事が増えたそうです。

 

3人目.

スクワマ(ジム、外岩)

オタキ(外岩)

スクワマでほぼ全てをこなす人です。

硬めのオタキの出番は、外岩で粒に乗るときやリード、XSGrip2だと消耗が激しそうな時だそうです。スクワマとオタキは、硬さがは違うけど形が近いので良い組み合わせだそうです。

 

4人目.

ドラゴ(ジム、外岩)

インスティンクトレース(ジム、外岩)

スメアとジムでの楽々シューズとして柔らかめのドラゴ、エッジングと ヒールフックはしっかりしたインスティンクトレース。

 

5人目.

コブラ(ジム、外岩)

パイソン(ジム、外岩)

ソリューション(ジム、外岩)

ミウラ(外岩)

ジムでは気軽にはけるコブラ、外岩ではミウラがメインとのことです。パイソンは強傾斜の主力で、ソリューションはぎりぎりで足を残したい時や、ヒールフックで重宝するとの事。

 

6人前.

ハイアングル(全て)

ハイアングルで全てをこなしている人です。ハイアングルを何足も持っています。

ハイアングル大好きのこの方に言わせると、サイズが分かってしまえばシンセティックよりレザーの方が良いよとのことです。

 

7人目

ジーニアス(ジム・外岩)

ミウラ(外岩)

ジーニアスでいろいろこなす人です。花崗岩などを登るときなどはミウラを使っているそうです。

 

8人目

フューリア(ジム)

ブースターS(外岩)

ジムでは柔らかめのフューリア、外では粒に立ちこむためにブースターを主に使っているそうです。上手くいかない課題があった時、シューズを変えて試すくらいで、基本的にはっきり使い分けているそうです。

 

9人目

キメラ(ジム、外岩)

 ボルダリングはキメラ一足でこなしているとのことでした。紐を締めればドラゴよりも立ち込みやすく、ジムでも使いやすい程度に柔軟性もあるので重宝しているらしいです。

 

実例の方が役に立つかと思い、まとめてみました。

近いコミュニティにいる人たちなので、結構偏りがありそうですから、参考程度にしかなりませんが。

使用割合は様々ですが、外岩とジム、エッジングとスメアリングで使い分けている人が多かったです。この辺りは、オーソドックスな使い分けですね。オールラウンド系のシューズ一足で両方こなすひともいました。

印象的だったのが、最近は柔らかいシューズやダウントゥシューズでもヒールフックの性能が上がっていて、ヒールフックのためだけにレースアップのシューズを使う事が少なくなったという話でした。

足をしっかり拘束した方がヒールフック時に脱げにくいですし、ヒールカップのフィット感が上がるので、やはりレースアップのほうが良さそうに見えますが、最近のオールラウンドなシューズの進歩の恩恵を受けているのでしょうね。

 

SCARPA DRAGO (スカルパ ドラゴ) (38)

SCARPA DRAGO (スカルパ ドラゴ) (38)

 

 

アダム・オンドラ選手使用クライミングシューズまとめ【外岩 ボルダリング リード】

世界最強クライマーと言えば、あの絶叫系クライマー、チェコのアダム・オンドラ選手を挙げる人も多いでしょう。外岩でもワールドカップ、世界選手権でも凄まじい結果を残しています。

そんなオンドラ先輩ですが、ルートによって色々なクライミングシューズを使い分けることでも有名です。スポルティバと契約しているので、シューズはスポルティバですね。

オンドラ先輩が履いていたシューズをまとめてみました。

 

外岩で履いていたシューズ

()は、シューズを使っていた主なルート。

 

ミウ

(Silence 5.15d 左足、Golpe de Estado 5.15b)

LA SPORTIVA(ラ・スポルティバ) ミウラ (40EU)【正規品】

 

ミウラXXプロトタイプ 実際の外見はミウ

(Change 5.15c)

LA SPORTIVA(スポルティバ) ミウラXX 10Z 35

 

ソリューション

(Silence 5.15d 右足、Super Crackinette 5.15a)

SPORTIVA (スポルティバ) ソリューション White/Yellow 199WY 40          [並行輸入品]

 スクワマ(Robin Ud 5.15a)

SPORTIVA(スポルティバ) スクワマ 10S ブラック×イエロー 39H(39.5)

 

フューチュラ

(Vasil Vasil 5.15c、Gioia V16、Terranova V16 左足

LA SPORTIVA(ラ・スポルティバ) Futura(フューチュラ)/38.5 10E

 

ミウラVS

(Lapsus 5.15b、Terranova V16 右足)

(ラスポルティバ) La Sportiva メンズ クライミング シューズ・靴 Miura VS Shoe [並行輸入品]

 

ミウラVSウーマン

(Frankenjuraのどこか 5.14c)

(ラスポルティバ) La Sportiva レディース クライミング シューズ・靴 Miura VS Climbing Shoe [並行輸入品]

 

パイソン

(C.R.S. 5.15b、Jade V14)

SPORTIVA(スポルティバ) パイソン 39.0

 

カタナレース

(Dawn Wall 5.14d)

 

スピードスター

(Move 5.15b)

  

※プロトタイプはもっと混ざっているかもしれませんが、ミウラXXのプロトタイプしか確認できませんでした。 

 

コンペで履いていたシューズ

スクワマ

ソリューション

パイソン

ミウ

スピードスター

 

おかしい・・・明らかにバリエーションが多い。調べ始めたのを後悔しました。しかも、超高難度ルートで使っているので、どう考えても使いこなしています。

 

面白いのは左右の履き分けですね。Silenceでは、強傾斜のために柔らかめでダウントゥのソリューションを、クラックのフットジャムのためにミウラを選んだとのことです。

 

オンドラ先輩にかかると、レジェンドシューズが大量に生まれます。 これだけ履いてくれていると、オンドラ先輩も使ってたんだよと言えるシューズがいっぱいあります。

色々なシューズを使いこなす能力も、非常に高いということなのでしょうね。

【クライミングシューズ分解】スポルティバ マーベリックを分解してみた

 

スポルティバ マーベリック(La Sportiva Maverink)のソールに穴が空いたので、分解してみました。

スポルティバのクライミングシューズの中でも、ニッチ?な人気を誇る柔らかスリッパの構造に迫ります。

 

 

 

 

マーベリックの特徴

P3システム採用で、非常に柔らかいのですが足をサポートしてくれます。シューズ自体は柔らかいですが、足と合わせて必要な剛性を確保してくれています。

トゥ側はノーエッジで、指先感覚は鋭いです。スメッジングにも適します。

攻め過ぎないサイズだと、履き心地はとても良いです。

 

レビュー記事も参考にしてもらえるとうれしいです。

 

sphendon.hatenablog.jp

 

ソール

セパレートタイプです。つま先側のソールを剥がします。

 

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ソールをはがした写真です。

ノーエッジなので、ソールはつま先上側まで回り込んでいます。

かかとから伸びるP3システムの黄色いゴムが、足裏前半分をすっぽり覆っています。

 

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つま先は、側面までP3のゴムが覆っていて、つま先と土踏まず、かかとをつないでいる事が分かります。

ノーエッジでなければ、このつま先の形は作れません。ノーエッジは、P3システムと相性が良さそうです。

2枚目の写真で、アッパーの縫い目が親指側のゴムの下まで伸びている事が分かります。立体的にアッパーを作る工夫がされています。

 

P3システムのラバー 

爪先から土踏まずをおおって、かかとに伸びるP3のゴムをはがします。

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1枚のゴムでできています。接着剤での接合部が多いと、長い時間をかけてじわじわとずれる事があります。一体の部品でダイレクトに重さを支えることで、それを防げると思われます。

アッパーのレザーとマイクロファイバーの縫い目も、荷重がかかってずれると伸びや型くずれの原因になりますが、P3のゴムでうまく隠れる位置にあります。

 

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シャンクと思われる不織布が見えました。親指側の側面は、不織布がランドの下に入り込んでいます。つま先と母子球(親指関節の付け根)の力をかかとに伝える工夫だと思います。

つま先の先端部分はランドの回り込みが少ないです。直接アッパーが見え、よけいな物でつま先感覚を悪化させないようにしているようです。

 

つま先のランド

 はぎ取ります。

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シャンクが親指の側面付近まで回り込んでいます。

ランドは中指、薬指、小指側が幅広になっていますが、普通の形です。

外側の土踏まずには、穴が6箇所開いています。シューズが折れ曲がった時の力を逃がす工夫のようです。

 

ヒールカップ

ヒールのソールを剥がします。

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ヒールカップのゴムは2枚構成です。サイドのゴムを上から中央のソールが覆っています。

 

シャンク?のような不織布

剥がしてみます。

  

シャンクと呼んでいいのかわからない、ペラペラの化繊の不織布のようなものが入っていました。

伸びませんが、剛性は無くグニャグニャに曲がります。

 

 

かかとにかかる体重を、つま先まで伝える役割があるようです。また、ゴムとアッパーの底部のレザーが伸びて型くずれするのを、防ぐ効果がありそうです。

 

アッパー

上はマイクロファイバー、下はレザーでできています。今回は生地の分解はしませんでした。

マイクロファイバーは1枚、レザーは2枚で、立体的に縫い合わせてあります。

 

上側のマイクロファイバーはレザーより伸びにくく、足のあたりがソフトです。

底のレザーは、剛性と丈夫さを確保しながら、足裏に馴染んできます。

履き心地と耐久性をうまく両立しています。

 

まとめ


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こんな簡単な構造のスリッパシューズ作るのに、どれだけ考えているのか…

スポルティバさんスゲー!

はき心地も良く、個人的にはジム履き最高だと思ってます。

 あと、下のような事が分かりました。

 

・P3システムのゴムにより、少ない部材で靴に剛性を持たせる事ができる。

・アッパーの拘束が弱いスリッパでも、必要な剛性を確保し易い。

・マーベリックのシャンクはグニャグニャの不織布。引っぱられても伸びないけど、よく曲がる。

・P3システムとノーエッジは相性が良さそう。組み合わせると、ランドの折り返しを小さくでき、つま先のゴムの重なりを薄くしてつま先感覚を良くできる。

 

マーベリックは、考え抜かれたサポーターのようなシューズと感じました。硬い靴底ではなく、ゴムとシューズの構造で足をサポートしています。

素足に近い直感的な感覚で操作でき、最低限必要な剛性は確保されているシューズと言えるでしょう。

 

P3システムはパテントが出ているので、そのうち読み込んでみたいと思います。

クライミングジム通いで用意して良かったチョークバッグと小物類【ボルダリング クライミング】

日々のボルダリングで、買って良かったなと思ったグッズ、小物類を紹介します。

 

ロールトップのチョークバッグ

ボルダリングメインなので、小物入れもついているバケツ型のものを使っています。

口が紐締めのチョークバッグが多いですが、ロールトップのタイプの方がしっかり口が閉まってチョークが漏れにくかったです。

バッグの中でチョークが漏れると、何かと面倒ですので助かります。

各社から出てますが、私はBDのチョークポッドアソートを使っています。

 

Black Diamond(ブラックダイヤモンド) モンドチョークポット アソート

Black Diamond(ブラックダイヤモンド) モンドチョークポット アソート

 

 

マムートのは形が変わっている。

[マムート] チョークバッグ Boulder Chalk Bag 2290-00821 0575 black-inferno

[マムート] チョークバッグ Boulder Chalk Bag 2290-00821 0575 black-inferno

 

 

リードをやる時は、腰から下げられるタイプを使っています。

 

ブラシ

ジムに常備はされているけど、数が少なかったり、大きいものしかなかったりします。

一本チョークバッグにさしておくと便利。

 

 

ナップサック

何でもいいのですが、クライミングシューズとチョークバッグは、どうしても表面にチョークがついてしまうので、通勤用カバンに入れるために使っています。

荷物が多いときは、単体でも持ち運べるところも気に入っています。

 

  

キズパワーパッド

擦りむいたり、怪我をしたときにお世話になってます。

粘着力が強く、マメの治りが早いのでかなり重宝しています。

手に使うときは、上からテーピングを巻くと剥がれにくいです。

 

他の人とかぶりにくい、ハイエンドクライミングシューズ紹介【ボルダリング クライミングシューズ】

ジムで他の人とかぶらない、かぶりずらいシューズが欲しい。

ソリューションやハイアングル、ドラゴはみんな履いてるし…

でも、しっかり登れそうなハイエンドシューズが欲しい!

 

そんなわがままな人に、ジムであんまり見かけないけれどもコンペでも使えそうなシューズをまとめました。

 

テナヤ ムンダカ

Tenaya メンズ Tenaya カラー: グリーン

Tenaya メンズ Tenaya カラー: グリーン

 

 

このシューズは、人気が出そうな予感があります。

ですが、まだ流通量が少ないのか、今のところジムで見かける事は少ないです。

柔らかめの作りと、テナヤのシューズの特徴であるはき心地の良さが特徴です。

コンペでも外岩でも活躍している、Alex Megos選手はオアシがメインですが、ムンダカを使っている写真もでてきます。

 

マッドロック シャーク 

[マッドロック] MAD ROCK Shark Shark Black/Orange (オレンジ/7.5)
 

 MADROCK のSharkです。攻撃的な見た目がかっこいいシューズですが、履いている人はあまり多く無さそうです。Jan Hojer選手が使用していたりしますね。

試しに足を入れた感じは、つま先に程よい剛性があるのですが、トゥフックやヒールフックも良さそうで、色々できそうな靴です。

外岩でも使えそうです。

 

マッドロック ドローン

 

最近ちらほら見るようになった気がしますが、スポルティバやファイブテンと比べると履いている人は少なめです。

一体成形のヒールカップが目立ちます。

印象的な登り方をするAlexey Rubtsov選手が使っていますね。

 

レッドチリ アトミック

[rakuten:sakaiya:10066371:detail]

試しに登ってみたところ、使い易かったです。

レッドチリを酷評する人も一定数いますけど、買って履いた訳ではないですが、この靴はそんなに悪くない印象でした、

ソールはビブラムのXSグリップということもありソールは柔らかめですが、最近流行の柔らか系シューズよりは、ある程度剛性を持たせた感じをうけました。バランスの良いシューズだと思います。

ドイツのKim Marschner選手らが使っています。