クライミングシューズのビブラムソールとステルスソールの硬さを調べてみた【クライミングシューズ ボルダリング】
クライミングシューズの靴底のゴム(ソール)は、ホールドをとらえるための摩擦、立ちこみやすい硬さ、耐久性などが高いレベルで求められます。
メーカー各社は、それぞれのシューズに合ったソールを選んで使用しています。摩擦はすごく重要なのですが、データが無いので比較は今回はあきらめました。
柔らかめのソールはダイレクトに足裏の感覚が伝わりやすく、硬めのソールは外岩などの小さなホールドに乗るときに、変形しすぎで負けたりしにくくなります。
シューズの構造にも影響があり、柔らかい方がしなやかに曲がってホールドに沿いやすく、硬いほうが変形が少ないので体重を支えやすいです。
ソールの硬さ比較
単位はShore A硬度です。数字が大きいほど硬いと思ってもらえばとりあえずOKです。
90だと野球の硬式球、70だと軟式球、50だと消しゴムくらいの硬さと言われます。
値に幅がある物は、中央値をとりました。硬い順に並べています。
- 5.10 Stealth Onyxx 84
- Evolv Trexx T5 79
- Vibram XS Edge 78
- 5.10 Stealth C4 78
- Madrock MadRubber 76
- Vibram XS Grip2 74
- Vibram XS Grip 70
- 5.10 Stealth Hf 68
- 5.10 Stealth Mi6 55.5
廃盤になってしまったOnyxxはかなり硬い印象でしたが、やはり一番硬かったです。逆に、Mi6ラバーはぶっ飛んだ柔らかさですね。
Five Tenは、硬式球に近い硬さから消しゴムに近い柔らかさまで、かなり幅広く網羅していたことになります。
逆にVibramソールは、78から70の間に収まっていて、硬さから言えば無難な範囲なのでしょう。Grip2とGripだと、Grip2のほうが粘る印象で、柔らかさ以外にGripを採用する理由は無い気がします。
個人的にはC4がもっと柔らかい気がするんですが、大変形に対する強さは別ですし、温度も影響しますから、なんとも言えませんね。
リソールについて
シューズのリソールをするときは、元と同じソールにするのが基本と言われますが、フリクションが効くと言われるStealthを試したくなる事もあります。しかし、大きくソールの硬さが変わると、シューズの剛性、足のサポートのバランスを崩す事にもなります。
Vibram→Stealthにする人が結構いるようですので、どの組み合わせが無難な硬さか考えると、以下の感じでしょうか。
- Vibram XS Edge とStealth C4、Evolv ならTrax T5
- Vibram XS GripとStealth Hf
- Vibram XS Grip2は、Stealth C4とHfの中間くらいで、どちらに変えても少し硬さの感覚は変わってしまう。
あえてソールの硬さを変えて、自分好みのバランスを考えるのもリソールの楽しみの一つですし、Shore A硬度が近いだけではバランスが崩れないとも言えませんが、参考にしてもらえれば幸いです。
XS Gripを使っているテナヤのオアシとかをStealth Hfにしたらどうなるんだろう・・・
ソールの材料
ソールの材料となるコンパウンドが、どの種類のゴムなのかは、情報が出てきませんでした。
推奨の接着剤からの予想ですが、Vibramのソールにはウレタンゴムが含まれていて、Stealthはウレタンは含まれていないようです。
ウレタンゴムは、摩耗、引裂強さなどの機械強度が高く、Vibramのソールは摩耗のしにくさや引裂き強度を重視してあるようです。また、ウレタンゴムは比較的水に弱いです。老化防止剤でかなり改善しますが、湿った状態で置き続けるのは避けたほうが良いでしょう。
Stealthは原料は分からないのですが、リソールキット付属の接着剤はウレタンゴムの接着に向かないタイプです。履物などによく使われるNR、NBR、BRなどに近いとすると、添加剤などの研究が進んでいるゴムなので、粘りを出しやすいのかも知れません。
実際は、添加剤や加硫の条件でかなり性質が変わりますが、使っている原料ゴムのそもそもの組成が違えば、使ったときの印象が違ってくるのも納得ですね。
ちなみに、セルフリソール派の人がVibram XS系を使用する場合、ウレタンゴムが接着できる接着剤を使わないと、くっつきにくい可能性が高いのでご注意ください。