【クライミングシューズ分解】スカルパ ドラゴを分解してみた
スカルパ(Scarpa)のドラゴ(Drago)は、コンペなどでも定番の一本締めスリッパシューズです。ヨーロッパの選手を中心に使用者も多いですね。
使いこなせていたかどうかはともかく、履き心地の良い本気シューズとして私も愛用していました。
使わなくなったシューズをいただいたので、分解してみます。
ソールはがし
ランドが結構回り込んでいることがわかります。
テンションラバーは母指球関節の手前くらいまでの長さで、指を反らせる動作は阻害しない程度になっていることがわかります。
ヒール側のソールは、ヒールカウンターの下に入り込んでいるので、途中まではがしました。テンションラバーはヒールの手前で止まっています。
テンションラバーはがし
テンションラバーをはがしたところです。ランドとヒールカウンターのラバーが足裏で割れていますが、テンションラバーがそれを覆い隠す形になっています。
ゴムの割れ目の接着部分はシューズの弱点で、伸びや剥がれの原因ですが、分厚いテンションラバーをつなぎ目に置いて、しっかり接着されています。
ランドはがし
ランドをはがしたところです。シャンクが見えます。
1mm程度の繊維と樹脂のシャンクで、つま先部分だけ剛性を高めています。
トウラバーも兼ねた大面積のランド。細かいパターンが切ってあり、折り返しができるように作ってあります。
ヒールカウンターはがし、全ばらし
ヒールのパーツは、ソール、サイドのラバー、ヒールカウンターの3つです。
ヒールカウンターは厚みが場所によって違っていて、端は薄めに、中心部分は厚めになっています。はき口が広がりやすく、足入れの良さはこういうところの工夫もあるのでしょう。
ヒールの構成はスポルティバのシューズとよく似ています。
アッパー
アッパーは、甲2枚、ヒール1枚、底2枚の5枚で作られています。
感心するのが、親指近辺の体重がかかる部分に縫い目が来ないように、つま先の親指側のみ底の生地が回り込んで甲側まで覆っています。
立体的な形状を作り出すために、よく考えられています。
まとめ
ドラゴは、ヒールなど他社のシューズの良いところを研究しつつ、つま先のシャンクやテンションラバーなど、独特の優れた設計が盛り込まれていると感じました。
特に、アッパーの作りが秀逸で、ド派手なアーチ形状に沿った形をうまいこと作り出しています。
柔らかいながらもつま先に最低限の合成を確保してあり、ファンが多いのもうなづけるシューズですが、相応の手間がかかっていることがわかりました。